不動産を探すとき「当社なら他にはない未公開物件がたくさんあります!」な~んてお話しを、営業担当から聞くことがあるかと思います。

みなさんの中には、やる気になって、たくさんの不動産屋さんに足を運んで「未公開物件があったら私に紹介して下さい!」ってお話しをすることもあると思うんですが。
実は、まったく(ほとんど)意味がないんですよね。
知っていましたか?
はっきり言うと未公開物件って、「無い」に等しいものです。

例えば、個人の方が売却をしたい場合、不動産屋さんに売却の依頼に行きますよね。
不動産仲介会社は物件を売るためには広告をしなければなりません。広告をすればすでに未公開ではなくなります。情報を公開し数日が経過すれば「レインズ(不動産業者が閲覧する物件データベース)」に登録するため、すぐにすべての不動産屋さんにその情報は行き渡るのです。
つまり、未公開と言える(?)期間はとても短いものなのです。
では、もう一例を書きます。
10区画に分割できるほど大きな土地を宅建業者が買取り、その後10区画に分割して分譲するとします。その場合でも法律手続きを踏まなければ広告ができません。
その法律手続きには数か月を要することが多いのです。
その数か月の間にお客様に提案ができれば未公開情報となりますが、将来的にこんな土地が出てきますよと、少数のお客様にご紹介ができたとしても、その不動産価格は未定だったり、とても高い価格であるはずです。
つまり未公開情報の段階で購入するためには、ほぼ確実に高買いをするしかないわけです。
では、未公開というのはどういう物件を指すのでしょうか。
(1)再販売が確定している物件であるが、仕入れ業者が未だ販売活動ができない状態の物件。
(2)個人で売却が確定している物件であるが、所有者様が、不動産仲介会社に正式に販売活動を依頼できない状態の物件。⇒未公開とは言えず、広告や口外をしていれば個人情報の漏洩となります。
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(1)の場合は、販売価格すら確定されていない状態が多く、(2)の場合、いつ売り出すかもわからないのです。(2)の場合は、事情によっては数年先の売却もありうるので、購入できると期待しても無駄骨になる可能性が高くなります。
多くの営業マンは、自社のネームバリューを利用して「うちは「大会社」だから未公開情報がたくさんあります。」ともっともらしくいうのですが、お客様は本当のことを知らないだけで、ウソを言われているのと変わりません。
では、なぜそのような営業トークをするのでしょうか。
それは、営業担当がお客様を引き留めたいからです。
当たり前のことなのですが必死なんです。
営業担当からすれば「お客様=今月、来月の仲介手数料売上」なのです。
ビジネスですから当然と言えば当然なのですが「お客様=お客様の喜びの為の業務提供=その結果今月、来月の仲介手数料売上」であってほしいものです。
会社規模が大きくなるほど、広告費も人件費も多額な費用がたくさんかかるため、契約優先(売上優先)にならざるを得ないのです。
本当に優秀な営業担当はウソを言いません。本当のことを話してくれるはずです。
結局のところ、「未公開物件」と言えるのは、他の不動産屋さんよりも、少しだけ先に紹介ができたからこそ言えるだけのこと。翌日にはもう未公開とは言えないものが多いのです。

今ある物件の中にも、見方を変えるとお客様にピッタリの物件があるかもしれません。
そのような物件を取捨選択してお客様の資金計画やお気持ちを総合的に考慮し、提案をしてくれる人。これこそが不動産のプロであり、お客様第一という事だと思います。
「うちは未公開物件が沢山ありますよ!」という営業担当や不動産仲介会社にはご注意くださいね(笑)
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