不動産購入は、終わっている街を選んではいけません【府中市の不動産屋さん】
目次
人口減少日本
最近は人口減をテーマとする記事が増えています。
そこで、これから数十年の間に何が起こるのか知っておくことは、不動産の売却と不動産購入をする際にとても重要なこととなります。
ーこの記事を要約するとー
・地域包括ケアシステムは地域によっては成り立たない。
・電気・ガス・水道の維持費用は莫大!撤退か?
・立地適正化計画・自治体が破たんした夕張市の現在
・街の姿勢
・常識という非常識
ーこんな感じですー
今回1つ目にご紹介するのは、民間企業が撤退する未来と、国が掲げる「地域包括ケアシステム」が成り立たなくなる、というものです。
地域包括ケアシステムは地域によっては成り立たない
人口減少で公のシステムを変えなくてはいけないのですが、身近なところでお金の話しです。
例えば、半世紀後は日本の人口が7割になると言われていますが、7割になれば不採算部門というのが出てきます。
例えば田舎などがそうです。
地域包括ケアシステムの最大のポイントは、高齢者が“住み慣れた地域”で介護や医療、生活支援サポート及びサービスを受けられるよう市区町村が中心となり、「住まい」「医療」「介護」「生活支援・介護予防」を“包括的に”体制を整備していくという点です。
これまでの国主導の高齢者福祉事業やサービスが市区町村主体で行われることにより、高齢者が住み慣れた地で行政・民間企業・ボランティア団体がより自由に、自主的に地域作りをしていくことが求められているのが地域包括ケアシステムなのです。
とはいえ、人が少なければケアシステムも医療も成り立ちません。
維持するためのコストがかかるからです。
もしかすると、心あるお医者さんなら地域に残ってくれるかもしれませんが、お医者さんにだって自分の生活があります。自分の生活を犠牲にして、地域のたった一人のご老人とは言わないまでも、人数の少ない地域のご老人の医療をしていくことは難しいでしょう。
地域包括ケアシステムの詳細は下記のページがわかりやすいです。
地域包括ケアシステムとは?
https://www.minnanokaigo.com/guide/homecare/area-comprehensive-care-system/
人が増える街、人が減る街
人口減少は日本全国でまんべんなく発生するものではありません。
地方の過疎化はより一層深刻となり、税金を納める若い世代は快適な生活を求めて都市部に居住するのが普通でしょう。つまり、自然の流れとして「人が減る街」と「増える街」が2極分化することになります。
お年寄りの方には大変申し訳ないお話しになるのですが、若い世代を社会的意義を理由にして田舎へUターンさせることは子供達にとっては幸せにつながるとは言えません。
不動産を相続させるのだから・・・という思いもあるかもしれませんが、それこそ負の遺産となる可能性が高いのです。街が存続するかどうかは既に決まっていて、これからはその結果が顕在化するだけの可能性が高いように思います。
先人の負の遺産(街)に若い世代を巻き込むのは時代錯誤の判断とも言えなくもありません。
「東京一極集中」はいけないと批判する地方の人がいますが、それは正しいのでしょうか?
街に魅力を感じなくなり、街を持続させる責任を負いたくないからこそ、若い世代が便利な街に移るという自然な流れが発生しているだけと考えるのが妥当のように思えます。
「自助」「公助」「共助」の話がありますが、若い世代に「共助」を押し付けていないでしょうか?
確かに力仕事は若い世代がやった方が効率が良いかもしれませんが、それは「共助」ではないですよね。
お年寄りにはお年寄りなりの「公助」があり、互いに助け合う世の中を作れなければ、若い世代が都会を求めるのも無理はありませんよね。
事実、ご年配の方々は健康上の問題もあるので、若い世代に助けていただいている部分は少なからずあるかと思います。
電気・ガス・水道の維持費用は莫大!撤退か?
今までの常識がとても不公平な事例があります。
電気・ガス・水道などの公共料金です。
例えば、山奥の10Km以上先にご老人の家が、たったの一軒だけあったします。
電気の供給をするために大きな鉄塔を設置し、莫大な維持管理費用を計上しその一軒家のたった一人のために電気を供給し続けなければなりません。
そうなると、この維持管理費用は誰が払うのかというと、全体の値上げでカバーすることになり莫大なムダが出ていることになります。
おそらく10Km以上先に電気を送るだけでもその設備に数億円という費用がかかるのではないでしょうか?(鉄塔等の設備を新設した場合の私の想像ですが。)
たった一人のご老人のために莫大な費用を支払うのですが、冷静に考えれば不公平ですし、一人のご老人のわがままとも言えるように思いますがいかがでしょうか?
そのメンテナンス費用も軽く数千万円もかかることでしょう。
当然、その様な費用をまかなうために、全員の利用料金に加算されていくわけですから、実は他人事ではないのです。
公的なサービスを考えてみましょう。
ご老人の家と町を結ぶ途中(距離10Km)で、道路のがけ崩れがあったらどうするでしょう?
たった一軒の一人のご老人のために、崖の擁壁を再築造しなくてはなりません。
これも皆さんの税金が投入されるお話しなのです。
つまり!
人が減るということは、税収が減るということなので、今のような行政サービスは維持できなくなります。
自治体別にコストが違うものもありますが、メンテナンス効率によって世帯ごとに設定費用が違うということもありません。
500世帯のマンションへのメンテナンス費用と、山奥の10世帯しかない集落へのメンテナンス費用を比べたら、どちらが効率が良いか一目瞭然です。
いずれライフラインのメンテナンスコストも社会問題化するので、世帯別の単価設定か、全体の値上げかのどちらかしかありません。
不利益を被る側を同情するようなニュースが増えると思いますが、本当はそんなことを言っている場合ではないのです。
あなたが同情したとして、そのコストを月額1000円として10年間徴収されるとしたらどうですか?
それでもあなたは心から同情するべきだと思いますか?
住む場所を集約していかないとこれからの社会はだんだんとスポンジ化していくため、全てが効率が悪く、ムダなコストが余計にかかる世の中になるのです。
そのなると当然、医療・介護も今のようには機能していかないでしょう。
※余談ですが、高度成長期に作られた社会インフラの更新時期が間もなくやってきます。コンクリートだからと言って無限に使えるわけではありません。
立地適正化計画・自治体が破たんした夕張市の現在
これまた余談ですが、あまり問題視されていませんが社会インフラ問題については、行政側が先手を打っています。それが「立地適正化計画」です。
杞憂に終わればいいのですが、知らないととんでもないことになる重要な制度です。
身近なところですと、東京都内では、八王子市、府中市、日野市、福生市が立地適正化計画を検討中のようです。一応、府中市に確認をしたところ、都市機能誘導区域(商業施設や福祉・医療施設などの立地を促す。)と居住誘導区域(住宅を集める区域)を全域としていく考えのようです。
注意が必要なのは、この2つの区域外の場合、不動産価値が無くなっていく可能性が非常に高いということ。
そういう立地にお住まいの方で、不要な不動産を保有しているのであれば、早く処分をして現金にしたほうが得策のように感じます。
立地適正化計画http://www.mlit.go.jp/en/toshi/city_plan/compactcity_network.htmlhttps://drive.google.com/file/d/1F9kH8Mo-EH2nMZ_SI2w0FL4TRiRohgIo/preview
人が減ると、電車もバスも止まります。
タクシーなんて便利なサービスもなくなります。
経営が成り立たなくなったらスーパーもコンビニも撤退します。
病院も経営ですから当然なくなります。
自治体が破綻したらゴミの収集もしてくれません。
そのような地域は「人が住める街」として維持できるでしょうか。
「ここには希望がないんだよ……。」夕張市役所の職員さんが言った言葉です。
これはもう皆さんが考えるられるような「街」ではないのかもしれません。
この例からもわかるように、先人の負の遺産(?)を若い世代に押し付けるのは間違いだと思います。
親御さんが田舎にお住まいの方もたくさんいらっしゃると思いますが、相続したときに資産価値があると予想できるでしょうか。生きるという事はお金が必要という事なので、相続する人も相続を受ける人にとっても、とても大切なことなのです。
まだ、そういったお話しができていないのであれば、しっかりとお話しをするべきです。
それは我が子の幸せを願う親にとっても大切なことなのです。
街の姿勢
人口減の話は2045年時点でこうなる、という話になるので、少し未来のテーマに聞こえます。
確実にこれからの日本の大問題であり、対策は早いに越したことはありません。
今から家を買う人は、家を資産として考えなくてはなりません。
立地がとても重要なのです。(府中市においては現状では問題のない話しに思えますが、ご両親の所有する不動産が田舎にあるのであれば早めに相談された方が良いでしょう。)
私は不動産仲介業界に身を置く者ですし、皆様の利益を本気で考えていますので、とても気になるのです。家は一生で一度の買い物ってよく言われますが、実際には買い替えを行っている方はたくさんいらっしゃいます。高額のローンを組んだのに、20年~25年で建物価値がゼロになる買い物を、何度もできる人は多くありませんから、そういう意味では一生に一度とも言えるでしょう。
つまり20年~25年後であっても売却ができるような資産性があるのか?というのは、とても大切な事なのです。
仮に今、全国的なベビーブームが起きて人口が爆発的に増えても、家を買う世代になるのは30年以上先の話です。
もしも買った値段と同等で売ることができるなら、家を何回でも住み替えることができます。
わいわいアットホームでは、家に対する価値観として選択肢があるように、中古住宅でも安心して購入できる仕組みをご用意しています。住宅にお金を払わなければならない、家賃とか住居費といった概念が通用するのも、人が集まる街に限られます。住むところは行政で用意するから、
・お願いだから我が街に住んでほしい
・我が街に税収を落としてほしい
・我が街を活性化させる活力になってほしいそうやって頭を下げないと人が住んでくれないような街。
その様な街に未来はあるのでしょうか。そういう地域だからこそ、もっと根本的な改革が必要なのではないでしょうか。地域包括ケアシステムでお年寄りが安心して暮らせる社会は素晴しいことです。私も後20年もすれば高齢者と言われるのかもしれません。街を維持するためだけに若者が必要だなんて言うのは、そこに住んでいる自分たちの欲を満たすことでしかありません。はたして、若い人の夢や希望が田舎の街で実現できるのでしょうか?我々がそうだったように、若い人たちも楽しいことがしたいのです。人がたくさんいる街に行って、新しい出会いや経験をしたいのです。現時点で、若者が楽しくて集まりたくなる政策を実行していない自治体というのは、すでに「終わっている街」なのかもしれません。
常識という非常識
これから家を買う人に知っていただきたいのは、家の買い方と街選びが本当に大切だと言うことです。
家の買い方と街選びがその後の人生を決めてしまうと言っても過言ではありません。
国を挙げての大改革の時に、最も信用ならないのが「これまでの常識」だと思います。
これからは「これまでの常識」は「これからの非常識」になるように思います。
周りのノイズに惑わされないよう、冷静な判断が必要ですね。
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