所有されている土地や家が、建築基準法上の「接道義務」を満たしていないために「再建築不可(建て替えができない)」と判定されることがあります。このような不動産は、住宅ローンが利用できないなど売却が極めて困難になるため、多くの不動産会社から取り扱いを断られてしまうケースも少なくありません。
今回は、府中市住吉町にある再建築不可の古家付き土地を、徹底した役所調査と隣地交渉によって、無事に売却へと導いた実務事例をご紹介します。
売却を諦めかけていた不動産にも活路があることを示す、状況整理・設計ワークの実践例として参考にしてください。
ご相談の背景と物件の状況
ご相談者は、ご高齢の70代女性でした。
府中市住吉町で長年お一人で暮らしていましたが、今後の生活を考え、老人ホームへの入所を検討されていました。その入所資金を捻出するため、ご自宅の売却を考え、複数の不動産会社へ相談に行ったものの、良い返事は得られなかったとのことでした。
【対象物件の状況】
■ 所在地:府中市住吉町(京王線「分倍河原」駅 徒歩10分前後)
■ 土地面積:約130㎡(約39坪)
■ 建物:木造平屋建て(築55年)
■ 課題:敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接していない「再建築不可」物件。敷地に接する通路は、建築基準法上の道路ではない「通路状の私有地」であり、建て替えができない状態でした。
ご相談者様は、「この家はもう価値がないのかもしれない」と、売却を半ば諦めかけている状態で、当社へお越しになりました。
実務家が実施した3つの「状況整理」と売却計画
再建築不可物件の売却には、法的な規制の正確な把握と、粘り強い交渉が不可欠です。私たちは、ご相談者様の不安に寄り添いながら、以下のステップで「状況整理・設計ワーク」を進めました。
状況整理とは、『頭の中の心配ごと』をスッキリと整えて見通しを立てることです。
① 徹底した官公庁調査と法令の確認
まず、府中市役所の建築指導課、道路管理課などへ何度も足を運び、対象不動産に接する通路の法的な位置づけを徹底的に調査しました。その結果、43条但し書き道路(現:43条2項2号許可)の適用の可能性や、隣地所有者の協力を得ることで接道義務をクリアできるわずかな可能性を探りました。こうした地道な調査が、売却の突破口を見つけるための第一歩となります。
② 隣地所有者様との誠実な交渉
調査の結果、最も現実的な解決策は「隣接する土地の所有者様から、通路として利用している土地の一部を譲っていただき、接道義務を満たす」ことでした。
私たちは、ご相談者様に代わって、隣地所有者様へ今回の事情を丁寧に説明。感情的な対立を生まないよう、あくまで「お互いにとって土地の価値が上がる、前向きなご提案」として、土地の一部売買(または通行地役権設定)の交渉を誠実に行いました。
③ 「再建築可能」という付加価値をつけての売却活動
数ヶ月にわたる粘り強い交渉の結果、隣地所有者様からご理解をいただき、測量費用などをこちらで負担することを条件に、土地の一部を譲っていただく合意形成に成功しました。
これにより、対象不動産は「再建築可能」な土地へと生まれ変わりました。
「建て替えができる」という最大の価値を得たことで、初めて一般の購入希望者(住宅ローンを利用するファミリー層)をターゲットとした、適正価格での売却活動が可能になりました。
売却が難しい不動産や、他社で断られた案件でも、解決の糸口が見つかるかもしれません。諦める前に、一度ご相談ください

不動産仲介業界21年の実務経験をもとに、
・売却価格・相続・空き家・住み替えについて無料で状況整理を行っています。
まずはあなたの「頭の中の整理(状況整理)」から始めましょう。
業界歴21年
府中市密着14年
公認不動産コンサルティングマスター
著書2冊
(※机上査定をご希望の方は、フォームよりその旨をお知らせください)
※机上査定(※ご実家への訪問調査を行わず、周辺の成約相場や土地データのみから、大体の売却目安額をスピーディーに算出する診断のこと)
売却活動の結果とご相談者様の新たな生活
「再建築可能」となったことで、物件の資産価値は飛躍的に向上しました。
売り出し後、住吉町周辺でマイホーム用の土地を探していた若いご夫婦が見つかり、無事に売買契約が成立。売却によって得られた資金で、ご相談者様は希望されていた老人ホームへの入所を無事に果たすことができました。
引渡しの日には、「もう売れないと諦めていた家が、こんなに良い条件で売れるなんて夢のようです。本当にありがとうございました」と、涙ながらに感謝のお言葉をいただきました。
この事例から学ぶ、再建築不可物件の売却時の注意点
建て替えができない不動産を売却する際は、以下の点に留意してください。
- すぐに専門買取業者に相談しないこと
再建築不可物件を専門に買い取る業者は存在しますが、その買取価格は市場価格より大幅に安くなることがほとんどです。まずは、時間と労力をかけて「再建築を可能にする方法はないか」を徹底的に調査してくれる、地域密着の不動産会社に相談することが、より良い条件で成約するための第1ステップです。 - 解決策は一つではありません
仮に隣地所有者の協力が得られなくても、近隣の複数の土地を一体としてデベロッパーへ売却する、リフォーム済みの古家として賃貸投資家へ売却するなど、解決の道筋は複数考えられます。安易に「売れない」と結論づけず、多角的な視点から売却計画を組み立てることが大切です。
不動産の売却は、法律や税金、そして何より「人との交渉」が複雑に絡みあいます。整理しながら一緒に進めていきましょう。
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