
私個人としては、こういった擁壁のある不動産は、価値があるものとあんまりないものに分かれると思うんですけど、一般に売られている土地や中古一戸建では、このようなことを知ってか知らないかわかりませんが、結構、高額で売られているケースがあります。
で、特に注意してほしいのは、擁壁(ようへき)を組んだ土地です。
この擁壁の高さが2m以上になると、建築基準法に適合した擁壁でなければNGなのですが、
建築士が安全と認めた場合には、建築基準法に適合していない擁壁の高さが2mを超えていたとしても建物の建築が許可されることがあります。
詳細説明は、ここでは省略しますが、擁壁の安全確保の考え方としては、
擁壁が崩れないようにし、被害が発生しないように、、、というものがあります。
私自身はちゃんと計算したことがありませんが、
この擁壁に亀裂が入ってしまい、修復をしなくてはいけなくなると、想像以上の多額のお金が必要になります。
数百万円で済む場合もあれば、1千万円を超える場合もあり、ごく普通の会社員にとっては、天地がひっくり返りそうな金額です。
「眺望が良いから購入」は浅はか
擁壁があるということは、傾斜地に建物があるということですから、おそらく眺望は良いでしょう。
で、そのロケーションが良いからといった具合で、購入を即決される人もいるようですが、当社のお客様には、擁壁のリスクについてはしっかりと説明したうえで、購入の是非を決定してもらっています。
理由は簡単です。
どんな理由があろうと、お客様は正しい知識を知る権利があるし、正しい知識の下で十分に納得して判断してもらうことが必要だからです。
府中市内でも傾斜地があります。
そこに建物が建っていて擁壁が組まれているところがあります。
でね。
私が府中市内のある建物を外観から見れば、とても素晴らしい物件だとわかりますし、誰が見ても多分、立派な建物だということでしょう。
しかし、当初価格から、1000万円以上安くなりましたが一向に売れません。
現地を見たときに私は気が付いたのですが、擁壁の上にブロック積みがありその高さまで土が充填されているのです。
これ、危ないですね。
擁壁の上にブロックを積んではいけないのです。
(土が充填されていなければ問題なし。)
土の重さはものすごく、雨などが降れば水の重さがさらにかかり、ブロックに大きな、それは大きな凄まじい過重をかけることになるのです。
その荷重は、外に押す圧力となり、目に見えないスピードで徐々にブロック積を押し倒していくことになります。
ブロック積みはとても丈夫です
ブロック積みは人が乗ったところでびくともしません。
だから、安全だと思っている人も多いし、それすら気が付かないし、気に掛けることすらない人がほとんどでしょうけど、長い年月の間に、過重によって、ブロック積みにひびが入ってくることがあります。
まさに、府中市内のその物件のブロック積みはひびが入っていましたし、やや隙間がありました。Σ(・□・;)
これは下手すると、、、。
想像できますよね。
擁壁上のブロックがひっくり返って下に落ちてしまう、、、、Σ(・□・;)
その下に人がいたら、、、Σ(・□・;)
人がいなくても、その後の修復は、、、Σ(・□・;)
となるわけです。
そういった知識があれば、その不動産を買う人はいません。
そう。
もしも、買うのだとしたらそのリスクも一緒に購入するのですからその分は価格に反映しなくては納得できないことになります。
売主様は、それでも大丈夫と言って売る
売主様はそれでも売ることでしょう。
だって、自分が損をしたくないから。
でもね。
これって、そもそもの話をすれば、そんな建て方をした売主様が一番いけないし、当時の設計士や建築士がいけないのです。
さらに言えば、建築を許可した行政もいけないということになります。
でも、その時その時代の慣習などによって、今はNGであっても当時は何の問題もなく許可されていたわけです。
これ自体に瑕疵があったということになりませんか?と私は思ったりしますが、それを言ったところで始まりません。
本来、こういった物件を所有している売主様は、そのリスクを承知して、通常相場では売ることが難しいと認識してその後の計画を立てたほうが安全ですし、これからそういった物件を購入するのであれば、そのリスクを承知して、擁壁の安全性について、しっかりと確認をすべきです。
で、やっぱり私が思うのは、どうして売主様はこの不動産を購入してしまったんだろう。ということです。可哀想だなぁと思ったりします。
不動産営業マンの営業にやられちゃったのかなぁとか、いろいろ想像するのだけど、ヤッパリあくどい人がいますから、リスクはしっかり確認してほしいものです。
まとめ
眺望が良いという理由だけで、即決をすると数十年後、売却する際に必ずと言ってもいいくらい大損をするかもしれません。
しかし、眺望がすばらしいというのは、人によってはとても魅力を感じる要素の一つでもあります。
安息角(滑り出さない限界の角度を表す工学用語)まで、建物基礎杭を打ち込んだりと、建築の技術は素晴らしいものがありますので、そういったことも総合的に考慮して、最善を考えて購入を検討されると良いでしょう。
売主様においては、ちゃんと安全を考慮して建築しているとわかる資料があると、より安心して売却に専念することができます。
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