【超参考】売却『戸建所有者』の建物価値に対する意見

目次
建物の価値とは?
昨日、世田谷区●●にある土地の売却依頼を受けてきました。
そこには、築後32年くらいの素晴らしい外観のお家がありました。
見た目はとても綺麗ですし、とても立派です。
しかし、所有者A様は私に言いました。

この建物は壊した方が良いと思っています。
今の駐車スペースではゲレンデ(ベンツ)は止められないし、土地価格が高い地域なので、この建物の性能に満足する人はいないはずです。
だから価値がありません(=無価値です。)
(●´ω`●)おぉ~。
A様は、素晴らしい見解をお持ちの方だと思いました。
建物外観はタイル張り、造形にこだわった木造住宅2階建、延床は140㎡くらいあります。
とても立派な建物だったので、いつもの私なら中古戸建で十分流通しますよと言いたいのですが、土地価格が高額な地域では、物の見方を変えなくてはなりません。

今回の場合、建物価値は(本来はあるけれど)ないと判断するA様はとても正論だと思います。
とてもまっとうな意見をお持ちでした。
建物は税法上の耐用年数で価値を算出しますが、それは実態に即していないのです。人によっては木造住宅は30年で建替えをしないといけないと信じ込んでいるようですがそれは間違っています。
ポイントは、売るという行為をする時、今の不動産市場からどのような評価を受けるのか?ということを理解することが重要なのです。
不動産を売る人には、こういうことも知っておいてほしいのです。
もし、この土地建物が府中市内だったら、中古戸建としての需要は必ずあったはずです。
つまり、私が何を言いたいのかというと、
不動産は『地域によって、分相応の価値が、勝手に付加または緩和される』
物の価値は比較で決まる

私は20年前に購入したシャーペンを未だに使っています。
これは前職の時から使っているもので、当時100円だったと思います。
私にとってはとても使いやすく愛着があるので、価値あるものですが、みなさんが私のシャーペンを中古でいいからと購入したいと思うわけがありません。
しかしです。
このシャーペンを有名人BBさんが愛用しているものだったらどうでしょうか。
有名人BBさんのファンにとっては、超絶の価値があるはずです。
買う人によって、物の見方・価値感が異なるわけです。
つまり、自分の『ものさし』です。一人一人が自分のものさしによって、物の価値を決めているわけです。
価値を認めればお金と交換しますし、価値を認めなければお金と交換することはありません。
つまり、買う人の物の見方や価値観は、売買が成立する『片側の要素』となるのです。
もう一つの要素は、当然の事ですが、売る人自身です。
所有者A様は、なぜ建物価値がないと考えたのか

この立地は、土地の坪単価が300万円程度する場所だからです。
ごく普通の人が坪300万円の土地を購入することはできません。
では、そういった土地を購入する人たちは、どんな建物を検討するでしょうか?
ここで想像が必要になります。
A様は、なぜ価値がないと感じたのか?というのが気になりますね。

建築をした32年前は、最新グレードで建築をしたのかもしれないけど、今となっては関係ありません。サッシは1枚だし、冬は超絶に寒いし、夏は本当に暑くて耐えられないですよ。
設備も所々壊れているので直さないといけませんし、注文住宅を計画すると土地建物の総額は2億円を余裕で超えるでしょうから、それだけの予算を投入する人がこの建物に満足するわけがありません。
このお家と今のお家では、断熱性能も耐震強度も全てが違っているので、この建物に価値がない事は十分理解しています。
私だったら、絶対にいらないよ(笑)
総合判断が大切です

物の価値は、これから利用する人(つまり買う人)にとって有益なのか不利益なのかという一点につきます。
物には減価償却という考え方はありますが、個人間売買においては目安にはなりますが、机上の空論と言える部分も大きいのです。
車でもそうです。3年前に購入した車が、今もっと高く売れるなんてことが普通にあります。
これらは今までの計算式では説明ができなかったのです。
経年劣化があるから安くなっているのが当然と思っていたはずですし、今でもそういう価値観を持った方もたくさんいます。でも、そういう価値観の人は、社会の考え方と逆行しているともいえるため、物が買えないことになりかねません。
ようするに、需給バランスと社会情勢などもろもろによって、みなさんの気持ちが作られ、その気持ち(つまり景気)に左右されるというわけです。
感情論だけでも困りますが、頭でっかちも困ります。
全体を俯瞰して総合判断をすることが大切。ということになりそうですね。
コメント