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銀行員が勧める「大失敗の不動産活用と節税対策」【府中市の不動産屋さん】

不動産業界歴 約20年 松田の本音ブログ

ん?よくわからない営業マン
目次

資産家にメリットのない融資をしにきましたぁ~(笑)

今日は、とっても参考になるリアルにためになる話しです。
ある資産家の方から不動産の有効活用について少し相談を受けました。
そのことで、以前の事を思い出しましたので、ここに記載をしてみます。

もちろん、バッチリはかけないので、かなり内容を変えています。
私は以前、神奈川県相模原市で、某電力会社の社宅を建設した地主様(Aさん)から、一棟マンションを売却してほしいという相談を受けました。
その時の査定価格は5億円です。

さて、このAさん。さらにさかのぼる事10年前に、こんなやりとりがあったようです。

Aさんは、かなりの資産をお持ちなので、相続税対策を検討していました。
そのタイミングで、Aさんの所に、おなじみの銀行員が、相続税対策のための不動産の有効活用について提案をしに来たそうです。
「Aさんの土地に建物を建てて、相続税対策すれば、●●●円の相続税が節税できますから、ぜひやったほうがいいです。建築費用として●億円を融資します。」

なるほど。
銀行員にはメリットがあるけれど、Aさんにはメリットのない相続税対策という名目で「融資」をお勧めに来たようです(笑)

なぜ、相続税の節税対策が必要なのか考えましょう

なんだろう?と考える営業マン

相続税の節税対策はなぜ必要なのかを考えてみましょう。

自分が、もてあましている遊休地を無駄にしておくのはもったいないと思います。
これからは自分の資産を有効に活用してお金を作ることが大切になってくる時代です。

つまり、有効活用です。

今回の節税対策と言うのは「相続時の相続税の節税対策」です。

ところで、借金を作ってまで相続税を回避する必要があるのでしょうか。
たしかに、この計画を進めて行けば、相続税の納税を回避することができる可能性が十分あります。
しかし、後世に借金と経営リスクを残していくことになるのですから、今、納税資金が充分に足りているのであれば、わざわざ借金をしてまで賃貸経営をする必要性はないように思えます。
目先の損得だけではなく、広い視野をもち、全体を俯瞰して考えてみたいものです。

不動産投資は出口(売却処分)ありきでスタートすること

投資大成功の女性

不動産投資は出口(売却処分)ありきで考えないといけません。
出口戦略を考えずに不動産投資を始めても、成功する確率はとても下がるからです。
(ラッキーで成功することもありますが今の環境下では安易な考えでは失敗するでしょう。)

銀行員のアドバイスによると、銀行から5億円の融資を受けて不動産投資はやるべきだそうです。
なぜなら、、、相続税対策!だから。

節税ができる理由は、
・小規模宅地等の評価減の特例
・貸家建付地になる
・建物も貸家評価になる
など、いろんな評価減の税制があるからです。 

それらを踏まえたうえで、銀行員は5億円の融資を受けて不動産投資をするメリットを説明します。
しかし、銀行員の話しには、出口(売却)の想定はしていますが、しょせんは銀行員。
不動産に関してはド素人の空論でしかありません。
数年後、売却をする時点で失敗する臭いがするのです。
当時、私がその話しを聞いていたら、銀行員が提案する建築プランは、将来理想的な価格で売れるとは思わなかったでしょう。
ここでいう失敗とは、大金を使った不動産投資事業なのに、それに見合った利益やメリットが得られない事を指します。

大手企業の社宅を建築して、一括借り上げがお勧めと提案される

表の顔と裏の顔

銀行員は某電力会社の社宅を建築して、一括借り上げをしてもらう事を提案してきました。
家賃は定期的に入金されるし、その額もまとまっています。

単純に借入金利息と経費を除いても、毎月のキャッシュフローは問題はなさそうと言えばなさそうです。
ずっと、この大企業が借り続けてくれて、家賃減額もなければ問題はなさそうですが、このご時世です。絶対はあり得ませんから、リスクヘッジは必要です。

社宅は、その企業のためのオーダーメイド商品。
ファミリータイプのちょっと特殊な3LDKを30戸です。
さらに見栄えの良い豪華なエントランスホールを作りました。
30戸分の平置き駐車場もあるゆったりとした土地と建造物です。

借り上げ家賃設定は、周辺相場よりもかなり高く1.3倍程度でした。これは魅力的です。
しかし、家賃設定が周辺相場と同等であれば、ローン返済に支障をきたしてしまう水準でした、、、。
(このような資金計画は、最初から破綻寸前です。)

万一、その企業が借り上げ契約の解除をしたら、その後の賃貸経営はどうなるのでしょうか。
こういった社宅仕様は、一度空いてしまうと次の貸り手が付きづらいので、状況によっては解体して更地にせざるを得ないこともあります。
(土地建物のバランスを考慮すると、次のオーナーが期待する利回りでの売却はまず無理と考えるのが妥当でした。)解体せずに用途変更工事をすることもありますが、それも建築確認申請や改修コストがかかるため、それ相当のお金のかかる話になりそうです。
配管工事のやり直しから含めると、その規模感からすれば、改修費数千万円程度のお話しではなかったのです。
さらに!
解体するにも数千万円程度はかかるだろうという見積りが出てきました。
進むも地獄。戻るも地獄。

アウトの一言であり、銀行はその責任は取ってくれません。

銀行は、ローン返済を待ってくれない

無くなるお金

Aさんが私に相談に来られた時、すでに賃貸の一括契約が終了していました。
家賃収入が一気に0円になってしまったのです。
しかし、某電力会社から契約に則った違約金がもらえたので、一時しのぎはできそうです。

家賃収入がないからと言って、貸してくれた銀行へのローンの支払いは続き、返済を待ってくれることはありません。
社宅(某電力会社)仕様だから、次の契約者はすぐに現れる可能性は少ないのです。

世間では、景気のあおりを受けて、経費削減により社宅がどんどん減っていった時でもありました。
その様なこともあり、社宅仕様だと次の借主に足元を見られる可能性が高かったのです。

そうなると、期待した家賃は入ってこないのですから、当初の計画通りには進まない可能性が高まります。
そんな時、銀行は、果たして助けてくれるのでしょうか?
もちろん、ローン返済は待ってくれませんでした。

ほんと、想像しただけで怖いですね。

融資した銀行が、リスクは一番低い

めっちゃ絶望中

融資した銀行は、リスクがほぼありません。
なぜなら、建築資金として億円の融資をする対象は「建築費+地主所有の土地」に対してなので銀行にとってリスクの低い投資になります。
さらに、共同担保として、別の物件に根抵当権をつけて押さえています。

銀行からの視点で見ると、
ある程度のローン返済をしてもらえれば、その後、万一ローン返済が滞ったとしても、抵当権実行をして、残債額相当の回収だけは充分にできると考えられます。(考えているから融資します。)


もしも、某電力会社が賃貸借を解約した場合、Aさんは各種支払いを考慮しながら賃貸経営を続けなくてはいけません。この立地で、競合相手に戦っていくためには、用途変更など、様々な検討は必要です。

話しが矛盾だらけの銀行員

ウソが平気な営業マン

銀行員は、某大手の電力会社の一括借り上げだから安心だと言ったそうです。

 Aさんはサブリース問題も知っているからとても心配でした。
もしも家賃見直し(減額)になったり、サブリース契約が解除されたらどうするのか銀行員に質問すると、ドライなご意見だったそうです。

「失敗している人は契約書をよく読んで契約していないから悪いんです。」
「そもそもサブリース営業マンの口先の説明を信用するからいけないんです。」だそうです。

これは、的を得ている説明ですね。
で、銀行員はさらに言いました。

「一括賃貸借契約が解除された後も、すぐに募集ができる建物がイイです。」
「万一の時、この物件であれば、その時の相場観もありますが、●億円で売却できると思います。」

あれ???ずいぶんと不確定な事を言うものですね。

社宅は、契約が解除された後の募集は、結構大変なのです。
社宅は通常よりも高い賃料で借りていることが多いので、募集しなおすと、超減額してしまう可能性が高いのです。
そして、次の一括での借り上げ契約は当分やってこないのが必然ですし、売却価格も想定よりもかなり安い査定になりました。

銀行員は、得する前提しか話しません

家賃収入があるうちは、それほど不安はありません。
(収入)
・家賃

(支出)
・融資の返済
・固定資産税等
・事業税等(利益に対する)
・所得税や住民税
・建物管理費用
・メンテナンス費用(将来の売却)

・期待する価格で売れるのか?
・需要がある物件と言えるのか?

家賃は、見直しがありますから、収入は上がることはなく下がる事しかありません。
借主が契約を解除したら、支払いだけは毎月あるのです。
毎月数百万円という支払いです。
銀行員は、得している時の夢物語ばかり話すのです。

銀行員の本音「融資がしたかった。」

銀行員は、融資をするのが仕事です。地主様はそこをよく考えてください。

不動産が「負動産」になってしまった

やばいな、、、、。困惑する営業マン

賃借人が一括契約を解除した時、その社宅物件は負動産になりました。

Aさんは、某電力会社から契約に則った違約金ももらいました。
しかし!相続対策で得をするつもりで建築したのに、自分が存命中のうちに、ローン返済で困ることになったのです。エンドユーザーに活動を行うことも考えましたが、こう言った物件の需要があまりないので、まずは業者買取を検討しました。
しかし、業者買取で処分する場合、ローン返済が1億円以上残ってしまう計算でした。
つまり、不足部分については別の担保物件を売却して返済の穴埋めをするしかないのです。

得をするつもりが大損になってしまったのです。
物件の規模感からして、次の借り手がすぐにつくことはないですし、検討してくれたとしても、かなりの家賃減額交渉をされます。
なぜなら、借り手もはビジネスなのです。
採算の合わないものを借りる企業などありません。
社宅仕様は、契約解除されると本当に青ざめます。

このような事例から、建築を検討されている方においては、色々と気を付けてほしいものです。
将来の税金を少なくする対策よりも、現在の資産を有効活用して、資産を維持し、そして増やすことを考えた方が良いのではないか。
その上で、相続時の評価が下がるように考えた方が良いのではないか。

そう思います。地主様の資産全体像を見てからの話しにはなりますが、いずれにしても●億円の借金をしたら、それを回収するのは大変なことです。
そこまで重荷を背負うことが、長い目で見たときのメリットになる話なのか、よく考える必要がありそうです。

自分の成績が良ければそれでいい。私は銀行員です。

おこる旦那さん

Aさんが見せてくれた資金計画の動き(予想段階)を見ると、メリットに見えるような見せ方がたくさんありました。

私には、銀行員が説明する計画では成功するとは思えない不動産投資に見えました。

相続税対策の有効活用には、様々な税制上のメリットがあり、上手に活用すれば素晴らしい結果が期待できます。しかし、納税する資金が潤沢にあり、リスクを背負う事を好まない人もいるはずです。

敷地が大きくゆったりとしたファミリータイプの社宅の建築をお勧めするのは、あまりに賢い選択ではないと思いました。(その後の事実で証明されました。)

銀行がお勧めしてくるのは、融資を利用する前提のお話しだけです。

銀行はなぜこのような案を、良い提案だと言うのでしょう。
それは自分の利益(融資)に直結するお話し以外は、良い提案と言えない(言いたくない)のです。
これでは、お客様のメリットを本当に考えているのか疑問に感じます。

お客様の希望を踏まえたうえで、何がベストなのか?
それを考えて実行することが必要だと思います。
私は銀行の提案に乗らずに、その不動産を単純に売却して、より収益性の高い不動産に買い替えるだけでも十分だと思えました。もしくは、等価交換事業などでも十分良かったのではないかと思うのです。

なぜなら借金をすることなく、今までよりも効率よく収益を上げるという目的は充分に達成できるからです。
もっと視野を広くしていろいろな角度から可能性をさぐり、
アドバイスをしてくれる人の話を聞いた方が良いのです。

すくなくとも、銀行員に不動産のことを聞いても良い案が出ることはまずありません。
なぜなら、不動産に精通していないのですから、、、。

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