抵当権設定契約証書があるのに「抵当権設定」されていない【府中市の不動産屋さん】
目次
抵当権とは
ある日の出来事です。
不動産売買取引でめずらしい事案がありました。
私にとって初めてのケースなので、ちょっと備忘録として書こうと思います。
■不動産の所有権以外の権利の一つに、抵当権というものがあります。
抵当権を例えで説明しますと、
私が金融機関で住宅ローンを利用して(お金を借りて)不動産を購入する場合、
金融機関は担保なしに金銭を貸してくれないので、購入する不動産を担保(人質というと分かりやすいですね。)にして、住宅ローンを貸し付けてもらいます。
この制度のおかげで、私は今お金がなくても「信用買い」ができるわけです。
しかし、信用の上に成り立っている融資なので、信用が壊れるとこんなことが待っているかもしれません。
万が一、私が毎月の住宅ローン返済を怠ってしまうと、金融機関が「抵当権」という権利を実行して、私がせっかく購入した不動産を強制的に売却処分して得たお金で、私が未払いにしている住宅ローン残額にあててしまうのです。
こうなると、自宅に住んでいながらも、お家の所有権を失いますから、家を退去しなくてはなりません。
このような状況になると、かなりへこみますし、人生終わった感が一杯になりそうです。
抵当権設定契約証書とは
例えば、私が、上図Aさんからお金を借りて不動産を購入する場合、売買代金の受領と同時に物件の引渡しを受けます。
物件の引渡しとは、鍵をもらう(つまり、所有権を私のものにする)ことです。
あわせて、物件の引渡しと同時に所有権の移転登記申請をしますので、同時に抵当権設定をしなくてはなりません。
登記、なんでしなかったんだろうか、、、。
司法書士に確認すると、
どうやら、登記費用を節約するためなのかな、、、、とか言われまして、要するに「第三者のための契約」みたいな感じのものがあったりするわけでして、今回の場合ちょっと意味合いが違うんですけど、いずれにしても登記していないということで登記費用を浮かしている?みたいな雰囲気になっている状況です。
でも、設定登記をしないと困るのは金融機関であるはずなのですが、、、。
本件所有者と金融機関との信頼関係があまりに固いからなのか、、、定かではありません。( ̄▽ ̄;)
通常なら本登記か「仮登記」くらいしても良さそうなものです。
今回、登記簿情報では抵当権が設定されていないので権利のスッキリした不動産に見えるのです。
売主様がわざわざ「抵当権の設定契約証書があるんです。」と告知してくれなかったら、この状況を知ることはできません。
まさにイレギュラーです。
驚きですし、今まで経験したことがないことだったので物珍しさを感じました。
今回の売主様が信頼のおける法人でなければ、不動産売買契約の締結そのものが無理って話ですし、もしかして他の不動産の売買契約にもこういったことが本当はあるんじゃないか?と疑ったほうがよいのではないか?ということにも思いをはせてしまいます、、、。
トラブルを未然に防ぐという役割を私が持っているだけに、このお取引では色々と考えさせられます。
まぁ、自分も含め、司法書士にもその背後について確認をしてもらったので、とりあえず問題なさそうです。
金融機関の内部的にオーライ?
ここがよくわからないのですが、司法書士が金融機関に確認をしたところ問題なしだったようなので、それはそれで良いのですが、事前に集める書類についてはしっかりと確認をしておきたいと思うところです。
通常の不動産取引でも同じですが、トラブルは絶対にご法度だからです。
しかし、ほんと不思議ですよね。
金融機関が無担保でお金を貸していたのと同義なのですからね。
初の経験で、ちょっと目からうろこ
不動産仲介業界にたぶん19年くらいいるはずの私ですが、こういったことは初めてでした。
売主担当者が言うには会社としても2回くらいしか見たことがない、、、ということのようで、本当にイレギュラーなことみたいです。
もし私が前職に在職している状況だったら、不動産売買契約の締結は延期しろ!みたいなことを上司から言われているのだろうなと思います。(要するに、少しでもイレギュラーなことが大嫌いな会社だから。)
私からすれば、イレギュラーな状況があったとしても、工夫とやり方次第で安全に取引ができるのであれば、お客様のことを考えしっかり対応をすれば良いだけだと思うのですけどね(笑)
抵当権は怖い?
不動産購入をされるお客様に対し「この不動産には「抵当権」が設定されています」と私が説明すると、とても稀にですが、ものすごく怖がる買主様がいます。
抵当権自体はまったく怖くないんですけど、だいたい怖がる人の特徴は住宅ローンを利用したことがない人です。
住宅ローンを利用するときは、利用する人が必ず抵当権の設定登記をしなければなりません。
なぜって、当たり前のことだからです。
金融機関が「どこの誰べえ」かもわからない相手に、無担保で住宅購入資金を貸すわけがないですよね?
普通に考えれば、おのずと合点が行くはずです。
つまり、、、。
抵当権を怖いと言っている人は、別の見方をすると「かなりお金持ち」といえるのかもしれません。
うらやましい、、、(笑)
ということで抵当権は怖くないですよ、でまとめます(笑)
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