考察しよう。不動産の価値とこれから【府中市の不動産屋さん】
目次
わかりづらい不動産の価格
不動産の価値って、ホントにわかりづらいものです。
私自身、不動産の価値を算出するのに、システムを使ったり、手書きの書式を使ったりしますが、実際、パッと見ただけでは不動産価値(査定価格)を判定することはむずかしいものです。
不動産は「一物一価」なんて言われていて、ようは二つと同じものがないのだから、そもそも定価という概念はありません。
株価も同じで、企業の業績や期待感とかによって毎日上がったり下がったりします。
日経平均も同じで、嫌気で日経平均が1000円安、1000円高なんて簡単に言われるものです。
上記のようなことから、定価のない不動産価値を算出するのは、なかなか難しいものなのです。
土地(更地)査定はそんなにむずかしくないのですが、、、
土地の査定は、まあまあ簡単です。これは、指標があるからです。
・地価公示
・基準地価
・路線価
・売出価格
・成約価格
こう言った指針となるものを使って、客観的に算出できます。
最近私が一番シンプルだと感じるのが、地価公示と路線価を使った不動産査定です。
不動産価格の見当をつけるとき、一般の方が見るのは「不動産の売出価格」です。
残念ですが、この数字は正直あてになりません。
というのは、売出物件の多くは価格変更が伴う事が多いからです。
不動産に関わらず、需給の強弱で売れる価格が変わってしまうので、売れないうちは価格に下落圧力がかかってしまうのです。
皆さんが不動産の売出価格を調べても、不動産の成約価格は調べられません。
(売り出されている金額よりは安くなることがほとんどというのは理解できるかと思います。)
不動産価格は、
土地の形状、道路付、残置物の撤去費用等も考慮され、
売る人の個別事情、買う人の個別事情も影響を受けます。
つまり、杓子定規に不動産査定価格は算出することができないのです。
「そんなにむずかしくない」といいながらも、やっぱり難しいのが不動産査定です。
建物価格査定は矛盾だらけ
この2年くらい前から、建物の不動産査定の考え方が変わってきました。
といっても、考え方の違う査定方法を取り入れて算出した査定金額では売れないし、机上の空論であると感じるのが私の本音です。
今までの建物査定は、建物構造ごとに経済的耐用年数を用いていました。
RC造なら47年。
木造なら22年(20年)くらい。
(ただし、事業に供しているのか居住に供しているのかによって、ほんとはまったく違う)
皆さんがお住まいの一戸建ては木造が多いと思いますが、今の不動産査定評価では、木造は22年(20年)たてば、価値はゼロ円として不動産査定を行います。
ところが数年前から、この考え方がおかしいのではないかという事で、大手ハウスメーカーが始めたスムストック査定が始まりました。
スムストック査定とは、建物本体と建物内設備(インフィル)を分けて査定をするのです。
(本来、正しい考え方だと思います。)
すると、おかしいことが起きました。
通常の査定と比較すると、スムストック査定では、建物の査定額が高くなりすぎるのです。
多くの不動産仲介業者が査定した建物価値は300万円だったとしても、このスムストック査定をすると建物価値が600とか700万円になるのです。
あれ?300、400万円も高いのはなぜ?
同じ建物なのに、査定のやり方を変えただけでこの評価の違いはなに???
そう、インフィル(つまり、設備の価値)がプラスに影響したのです。
土地建物の売出価格の総額は、たぶん変わらない
土地+建物の査定価格は総額で高くなるわけですから、それで売れるのか?という事になりますが、やっぱり厳しくなります。
全ての不動産会社がスムストック査定をせず従来の不動産査定の方法なのですから、不動産価格査定結果に差が出てしまうのです。
こういう矛盾した状況は、私はとてもおかしいと思っています。
設備メンテナンスを実施している建物価値は高いはずです。
しかし、お家を買う人が周囲の物件との対比で購入検討をするので、高い価格でも評価できるという買い手が現れなければ売れないのです。
その結果だんだんと安くせざるを得なくなるのです。
わかりやすい例えでは、
20年前の一戸建てはペアガラス(複層ガラス)はほぼありませんでしたが、昨今の住宅はペアガラスが普通になっていますし、床暖房も当たり前になりました。
20年前には贅沢設備であったものは陳腐化して、今では当たり前になっているので「大きな世代ギャップ」が生じていることになります。
当時の贅沢で素晴らしい性能は、今ではごく当たり前のことであり、差別化はできなくなっているのです。
コンディションが良い建物や、リフォームして快適に住める建物であれば、一定の価値があると思いますから、売却査定なんていう杓子定規な事を言わないまでも、ある程度の価値は残っていると考えて良いかと思います。
不動産価格は
・土地価格●●万円
・建物価格●●万円
・合計 ●●万円
と記載さますが、その合計額は、周辺の似たような物件とほぼ同じになっていることが多いのです。
本来建物価値分が高くなきゃ矛盾するのに、建物価格が高くなる分、土地価格が近隣の価格より明らかに安く記載されている物件が多いように見えます。
つまり、建物価値が高くなれば、土地建物総額が高くなるため、売れない(売りづらい)ので、売出価格を調整しているというわけです。
へ理屈はすごく理解できるし賛同したい気持ちはすごくありますが、まだまだ明確に整備されていないのです。
といっても、すごく高く売れる物件もあるので、売却査定は目安程度に見ておくほうが良い場合もあります。
国土交通省がちゃんと仕切ってくれないと、一律の査定システムを変更することはできません。
屁理屈不動産査定は、根底がおかしい、、、。
へ理屈をどんなに並べようと、不動産価格は、需要と供給のバランスで決まってしまうので、査定うんぬん言っても、実際には売り出さないとわからないのが実状です。
思いのほか高く売れることもあるし、通常想定される価格にならないものもあります。
国土交通省は、中古住宅の流通を促進すると言っていますが、実際には、新築住宅ばかりを優遇する税制度になっています。
これでは、中古住宅の流通の根本はなかなか変わらないと思わざるを得ません。
ここ数年前に、中古物件にも素晴らしい税制優遇が出来ましたが、中古物件の価値を高くし流通性を上げていこうと考えるのであれば、新築住宅も中古住宅も、税優遇を平等に考えるべきだと思います。
そして皆さんに、新築住宅と中古住宅のメリットとデメリットを判定してもらうべきではないかと思います。
ところで、私が勝手に考えていることがあって、
政府はある程度の築年数が経過した家を全て排除しようとしているのではないか、、、と感じることがあります。
戦後まもなくは、とにかく建物の数が必要であったので質より量が重要でした。
今は、量よりも質が重要視される時代に変化しています。
つまり、質より量を主に考えた時代の建物を一掃し、質の良い住宅を増やす事を考えているようにも思えるのです。(もちろん、私個人の勝手な想像です。)
その一方で、過疎地のような人が少ないところは、意識的に家を建てられなくする地域として指定し、人を特定の中心地に集める政策があります。
こうやって人口減に対応していく必要があるのは当然のことです。
不動産の価値は需要があるかないかで決まります。
1億円で建築した建物が昨日完成したとして、
今後建物を建築できない、
商業施設も出来ない、
利便性も悪い、
地方自治体の財政も良くない過疎地にあった場合、
誰が住みたいと思うでしょうか。
1億円かけた家であっても、誰も住みたいと思わなければ1円でも売れないのです。
価値観の根本は、人がたくさんいて、街としてどれだけの魅力があるかでしかありません。
つまり、街力なのです。
不動産は、これからも需要がある地域なのか!
という事を一番に考えなくてはいけません。
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